DropFrame

あなたの力でハッピーエンドにしてあげてったー_晃あん

____________________
あなたは
『許されないのに、
 好きだと言われると自分もだと頷きたくなってしまう』
晃あんを幸せにしてあげてください。
https://shindanmaker.com/474708
____________________

 何で、そんなこと、言うの。まるで瓦礫が崩れるように私の口からこぼれた言葉を聞いて、晃牙くんは打ちひしがれるように寂しそうに顔を歪めながら、好きなやつに思いを伝えて何が悪いんだ、と、とても苦しそうに吐露した。彼も考えて、考えてこの言葉をはいたのだろう。好きだ。たった三文字の言葉なのに、その言葉は私たちが今まで一生懸命に守ってきた友達の壁をいとも容易く崩してしまった。

 友達なら良かった。プロデューサーとアイドルは、友達までなら関係を築くことができた。でも、その先はダメだ。高らかに築いたはずの、友達と言う名の絶壁。その壁に守られてきたから、今まで隣を歩き、軽口を叩きあえたのに。

「ちゃんと聞け、俺はお前のことが、好きだ」
「やだ、ききたくない」

 彼が私の名前を叫ぶ。咆哮に似た轟きは辺りの空気を震わせ、そして私の心も揺すぶりをかける。涙が浮かぶのはきっと、心が揺れたから。じんわりとにじむ世界に、私は顔を首を振るい必死に抵抗する。やだ、やだききたくない、気付かせないで、お願い。

 業を煮やしたのか彼は顔を腕で覆い頑なに首を振る私に近寄り、腕を強引に引き下ろす。今まで腕で守られてきた涙に濡れた顔。腕から手を離すと晃牙くんはそんな私の頬を、驚くほど優しく両手で包み、

「馬鹿野郎」

 そしてそのまま彼は掌で頬の輪郭をなぞるように奥へ奥へと手を伸ばし、覆い被さるように私へ抱きついた。腕を曲げて、晃牙くんは私を自らの腕の中へと収める。晃牙くんの少し高い体温と、ほんの少し香る獣の匂いに、また涙が溢れる。こんなことして許されるわけない。許されるわけがないのだ。それでも私の心に灯る期待が、喜びが、彼の温もりを拒むことを許してくれない。

「私は、私はプロデューサーだから」
「だからなんだってんだ」
「一人に入れ込むとか、ゆるさ、れる、わ、わけな、ない、し」
「うるせえ、とっくの昔に入れ込んでるくせに」
「そ、そんなこと」
「ないって言い切れんのかよ、なあ、プロデューサーさんよお」

 俺ばっか見てるくせに威張んな。私の反論は彼の粗暴なキスによって塞がれる。うそだ、そんなことない、ひいきなんてしてないはず。沸き起こる否定の言葉を発することは許されない。息継ぎ程度の暇しか与えず、まるで噛みつくようなキスの嵐にあたまがくらくらと揺れる。世界が、守ってきた私の世界が、音をたてて崩れ落ちる。

腰砕けになった私を彼は雄々しい腕で抱き止めて、ばあか、と笑った。琥珀色に輝く世界があまりに綺麗で、私は目を奪われる。

「俺様だけを見てろよ」

傲慢に笑う彼の顔が涙でにじむ。 ただただ黙って頷く私に晃牙くんはやはり笑って、もう一度、今度は優しいキスをひとつ、落とした。