普段も濁りのない綺麗な池なのだが、
今日は一段と透明度が高く、水底も、泳ぐ魚たちもとてもクリアに見えた。
僕の隣を歩くパンディットはその脚を止めて、物珍しそうに池を眺める。
僕も同じように脚を止めて彼の上から覗き込むと、
鏡のように映った僕らの顔と青い空が、池いっぱいに広がっていた。
水面に映るパンディットの瞳はどこか輝いていて、
水が好きなのかな?と声をかけようとしたその時、
彼はおもむろに片足を池に突っ込んだ。
衝撃でできた水流は小さな渦を巻いて水面に波紋を広げ、
飛散した水しぶきもまた池に同心円状の模様を作る。
魚たちは蜘蛛の子を散らすように一斉にその場から離れ、
平和に包まれていた池の一角は突然現れた謎の脚のせいで、
一瞬にして静まり返ってしまった。
突然のその行動に僕はじろりと彼をにらんだ、
が、水面に映る彼の顔はどこか誇らしげで、嬉しそうに大きく鼻を鳴らした。
違う褒めているのではない。
僕は頭を抱えながら、一度大きくため息をついた。