DropFrame

心を捉えて離さない

 炎が出るのに、指先はこんなにも冷たいのね。
まるで氷のようなそれを指先で包むと、エルクは、関係なくね?と無邪気に笑った。
外から帰ってきた彼の手は、まるで外の空気を吸い取ってしまったかのように冷たい。

 リーザの手は暖かいんだな。彼は私をからかうように、指をくねらせる。
それがくすぐったくて思わず手を離すと、
今度はエルクが私の指先を掌で包んで、握り返した。
そうして笑って、リーザの指は華奢だな、なんて一言。
華奢なんて難しい言葉一体どこで覚えてきたの。
照れ恥ずかしくなって肩をすくめると、エルクは私の指先の感触を楽しむように、
不規則なリズムで私の手をなんども握る。


「冷え性なのかしらね」
「さあな、でも冷たくても別に俺は気にしないけど」
「そうなの?」
「こうしていればあったけえし」


 そうして彼は飽きずに私の手をなんども握る。
とくり、とくり。冷たい彼の指に力がこもるたびに、私の心も音を立てる。

 もしかしたら。もしかしたら心というものはここにあるのかもしれない。
彼が今触れている、まさに、ここに。