小さな頃はビターチョコレートが苦手だった。 甘いからこそ美味しいものなのに、と一際濃色なそれを爪弾きにしていた、はずなのに。 お世辞でも綺麗と言えないラッピング。 少々歪な文字で綴られた「お疲れ様」のメッセージ。 そんな文言につられて、私はひょいと一つ、焦茶色のそれを口に放り込んだ。 好きにならないはずがない (久方ぶりに食べるそれのおいしさやたるや)