冬は寒いから、誰かと居たくなるのだ。きっとそう。
だからちょっと大胆に出てもそれは冬が寒いからのせいであって、
きっと許されるんじゃないかな。
なんてわがままな解釈かもしれないけども、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ。
ソファーにはギルド帰りで疲れて寝ているエルク。
寒そうに身を縮めていたので、そっと毛布をかけてあげると、
もぞもぞとくすぐったそうに身を揺らす。
風邪引いちゃうよ、と小さく声をかける。エルクはもぞもぞと動くだけ。
誰もいない事を確認して、そっと手を触ってみる。
エルクは人より少し体温が高いから、随分と手のひらが暖かく感じる。
調子に乗って手を握ってみても、彼は起きる気配を見せないのでほっと胸を撫で下ろす。
いつもお疲れさま、ありがとう。
本当はね、こんな言葉じゃ足りないくらいすっごくすごく感謝してるんだよ。
有り余る程の感謝、そしてほんの少しの触れ合いたいという下心と。
だって今日は寒いから。
少しぐらい近くにいて暖め合ったっていいよね。エルクの手を包むように握った。
今日は、ゆっくり休んでね。エルク。